発売日 | 2024年11月 |
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定価 | 9800 |
著者 | 王道俊 郭文安 |
翻訳 | 監訳 小関禮子 翻訳 渡邊英子 |
ISBN | - |
ページ数 | 686 |
Cコード | - |
判型 | A5 |
在庫状況 | - |
カテゴリ | 現代中国研究叢書, 新刊・近刊, 専門書 |
本書は、「中国教育学の教科書」です。教員養成専門学校・大学での教育に供するとあり、教員を目指す学生を対象に、彼らを力がある教員に導く教材であると捉えました。 力がある教員とはどんな教員なのでしょうか。
本書では、先ず、教師とは子供が父母の次に出会う社会的な存在であること、教師の仕事には授業者、相談者、心理士等々の多重的な役目があること、次に、教育者と研究者の役目には矛盾があるが、課題解決力を高めるため研究者としての力は必要と述べています。 教師には、人間力、専門性、創造性等々の様々な能力が求められており、これらを身に付け、発揮して、様々な役目を果たせる教師を力があると見なすのでしょう。 序章では、教育学の研究を通じて教育の基本的な理論を把握し、正しい概念を確立できると述べ、教師が教育理論を学ぶことの重要性を強調しています。 教育現場では、以前から「理論と実践の融合」や「理論と実践の往還」が重視されていますが、時間的な制約もあり、まだ十分とはいえません。 日々の教育活動に当たって、教育とは何か、子供が学ぶとはどのようなことか、教師が教えるとはどのようなことか、どのような人間を、どう育てていくのかという問いを常に持ち続けることが大切だと思っています。
本書の前半は、教育の目的等、教育の理論が壮大に展開されています。国内外の古を紐解き、時代が求める教育の在り方を辿り、中国の歴史の負の部分にも触れながら、今後の教育を指向していますが、世界の教育の改革は、「人間本位の教育」に向かい、人間の全面的で自由な発達を促進することが重視され、それが「新しい理想の教育」になるだろうと述べています。 後半は教育方法や指導内容について書かれ、具体的な授業例が教師と子どもの生き生きとしたやり取りで再現されています。そこでは、子供を学ぶ主体として捉え、教師も共に学ぶ存在として、一方的な教え込みを厳しく戒めています。 また、各章毎の復習課題は、子供観や指導観、教育観に関わる見解を鋭く求めています。異なる意見を示して幅広く多面的に考えさせようとする課題もありました。学生の主体的で活発な議論が見える気がします。振り返りがその先の探究へと道を開く内容になっており、興味深いものでした。